top of page

◯prologue  2

犯人と思われる人物を特定し、なるべく早く通例に従って処刑を行おうとしたが、ロードリックがそれを止めた。

「少し待ってください。この推理には少し無理がありませんか。

論理的に考えて、私たちには疑うべき人物が他にいるはずでは?」

「ろんりてき、なんて言われても、あたしわかんないよ」

モーガンが首をかしげるが、レイモンドは意外にもあっさりその人物の名前を口にした。

「アシュリーか」

 ロードリックが「そうです」と頷いた。

「現場に着いたとき、レイモンドも私も同じことを思ったようですね。

事件の最中、なぜか生き残ったアシュリーが怪しい、と」

「でも、村長。俺は自分の妻が人狼だなんて考えられないな。

そうだと仮定しても不可解なことが多すぎる。

アシュリーがたまたま無事だったって方がまだ信じられるさ」

「たしかにアシュリーは怪しいかもしれないけど、人狼なわけないよ。

ここに住み始めて長いけど、一回もあたしたちを襲ってないし、それに人狼がレイモンドと結婚するかな?」

​新たな謎がレイモンドたちの頭を悩ませる。

 アシュリーは未だに眼を覚ますことなく、現場にあるベッドに寝かせてあるままだ。

 しばらく考え込んでいた三人だったが、ロードリックが一つ提案をした。

 「それでは、村の外れにある小屋にアシュリーを隔離しておくことで手を打ちませんか。

アシュリーが眼を覚ましたら、話を聞いてみましょう」

bottom of page