手紙を受け取って絶望した。まだ悪夢が終わってないなんて。
でもーー私は行かなくちゃ。
やっと手に入れたステージに立つ権利を、こんな過去のことで崩させたりしない。
私は行かなくちゃ。私とメンバーたちの夢を守るために。
【集合した時の記憶】
「嘘でしょ…!」と言ってしまいそうになるのをかろうじて堪えた。
あの白い肌、無数に走る腕の傷跡、そして何よりサラサラで輝くような黒髪。
私の憧れの存在、友愛がどうしてこんなところに。
フォローしていた病み垢が突然消えたのと、何か関係があるのかもしれない。
【三年前の記憶】
下駄箱のラブレター。そもそも、方法としてちょっと時代遅れじゃない?
毎日のように入ってるそれを鬱陶しく思ってたけど、あの一通は鬱陶しいどころじゃなかった。
最悪 of 最悪。
何しろ中身は学校に内緒でアイドル活動をしていることを餌に、私を事件に関与させようなんていう脅迫文だったんだから。
私が地下アイドルをしてることを学校の誰かに知られているということに恐怖を覚えたけど、
先生たちにバレてないならまだマシ。
私は一も二もなく「〇〇高校の裏山にある死体を見つからないように埋めること」という条件を承諾した。
翌日、私は自分の学校の裏山に行った。
死体に出くわすまで歩いたら、立入禁止区域の手前まで来てしまったけど、そこには手紙の通りに死体があった。
異様な光景。下手くそな合成写真みたいな感じが目の前の現実に張り付いている。
誰かが吐いた後を踏まないように気をつけながら、死体に近づいていく。
男の子だった。日焼けした飾り気のない手足。元々白い裸体には血が飛び散ってる。
正直、えぐい。
「うわぁ…」と今にも中身を吐きそうなため息が出たけど、私はとりあえず埋める場所を探した。誰かが取って行ったのかもしれない。
体以外は何もないから、しばらく見つからなければ衣類やアクセサリーでバレることもなさそう。
願わくばバクテリア云々が秒速で身体を分解してほしい。または爆速白骨化。
私が立ち入り禁止区域へ通じる扉をそっと押すと、意外なことに簡単に開いた。
なんでかはわからないけど好都合かな。
私は男の子の死体を引きずって立ち入り禁止区域まで入ると、木々が密集して生い茂るその根元を持ってきておいたシャベルで深く掘った。
男の子は今でもそこに眠っているはず。
誰も彼に気づくことができなかったから。
【目標】
自分が最多票にならない。(3)
犯人に投票する。(5)