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俺の名前はレイモンド。
仕事は、代々受け継いでる畜産業。
メインは羊で、奴らは広大な山にほとんど放し飼いのようにしてるけど、
村の外れで牛を数十頭飼育してもいる。
ちなみに、その山はずっと羊を飼うのに使われてきたから、
村に生まれた子供たちは「ふわふわ山」なんて呼んで遊び場にするくらいだ。
それと、妹のハリエットが羊の毛を加工して売っていたな。
最近は妻のアシュリーがハリエットのことを手伝ってくれていたし、
俺は結構幸せに暮らしていたよ。
アシュリーが人狼だとしたら……。
いや、そんなことは考えたくもないが……だって、おかしいだろ?
今までアシュリーには俺たちを殺す機会なんていくらでもあったんだぞ。
それでも、アシュリーとハリエットしかいない場所で、
アシュリーが生き残ってるってことは、そうとしか考えられないんだよな。
それに、今考えると、アシュリーだけ唯一村の外出身なのは、
おかしいんじゃないかと思うし。
10年くらい前だったかな。
当時は人狼のこともおとぎ話だと思っていたから、
(だって好きなときに狼になれて、走るのが速くて、怪力になれるなんて、
親から言い聞かされていた人狼像があんまりに嘘臭かったんだ)
大人たちがどうしてアシュリーを頑なに村に入れようとしなかったのかわからなかったけど、
きっとアシュリーが人狼だったら、って思っていたんだ。
安寧は、外の人間を絶対に入れないことで守られてきた。
あの時、ロードリックがアシュリーを拾ってこなかったら、こんなことは起こらなかったのかもしれない。
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