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Epilogue The Day of the Oath
デリック村・ロードリックの手紙より
それが最後に見た父の姿だった。
私たちは父の命を奪ったであろう銃声を背に走った。
今でも聞こえる……耳元を銃弾が掠めるときの風切り音が。
追いかけてくる銃弾が最初に母の頭を、次に妹の腹部を貫いた。
もし二人が生きているのならば、私は彼女らに謝罪するだろう。
なぜなら、私は走った。
倒れた二人を省みず、前を向いて走ったからだ。
僕の家族は死んだ。人間を食べようとしたばかりに死んだ。生きる糧を得たばかりに。
どうして僕ら人狼が虐げられなきゃいけない? 人間だって命を狩って生きているのに。
あいつらにとって僕らが悪なら、僕らにとってもあいつらは悪、いやそれ以下だ、ただの食料だろう──。
幼い私は思った。
数十分前までいたあの居心地のよい家庭を奪った人間を到底許せない、と。
私は一つ、あるいは二つ、銃弾を受けていたのかもしれない。
意識が戻ったとき、私はどこかのベッドに寝かされていた。
そう、今となっては、もはやこの出会いを隠しておく必要もない。
倒れていた私を介抱してくれたらしい男性は、ロードリックと名乗った。
ロードリックは優しかった。
人間による傷は少しずつ癒えていき、代わりに彼は、人間の良いところを思い出させてくれた。
彼はしばらく私がベッドを出れないでいる間、閉鎖された故郷の話とそこでの暮らしを話して聞かせた。
君たちの話も聞いたんだ、レイモンド、それにモーガン。
ロードリックは旅立ちの日の写真をずっと大事に持っていた。
一人一人指して、名前を教えてくれた。
写真の中の君たちは、まだ無邪気な子供だったんだ。
素敵な村だと思った。
そして、人間と人狼が共存する村を作りたいという強い思いとそれが実現するなら、
このデリック村でしかありえないという予感が私を打った。
──これが、私がこの村にやってきた経緯になる。
この村を共存できる場所として、作り上げてみたかった。
たくさんの人間と人狼が、歪み合わずに済む場所を作りたかったんだ。
難しいことだけれどいつか誰かが成し遂げてくれると、私は信じている。
ロードリック 改め フィル
Fin.
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